「フラッグスタッフは、アリゾナの中にある“別のアリゾナ”だ。
赤い大地のドラマではなく、冷たい空気と温かい灯りで、旅人を好きにさせる。」
砂漠の州のなかに、こんな山の町があった。
Hiroはアリゾナと聞くと、最初に思い浮かべるのは赤い岩、サボテン、熱い風、そしてどこまでも乾いた地平線だった。もちろんそれは間違っていない。でも、フラッグスタッフに着いた瞬間、そのアリゾナ像は少しずつほぐれていく。空は高く、木は背が高く、町の中心には歩きたくなる通りがあり、古いホテルの看板が暮れ色に灯る。さらに、町の上には天文台があり、夜になれば“見上げること”そのものが、この町の文化になる。
フラッグスタッフの魅力は、ひとつに絞れない。ルート66の懐かしさもあるし、大学町らしい知性もある。クラフトビールの気軽さもあれば、歴史あるホテルに泊まる旅情もある。昼はコーヒー片手にダウンタウンを歩き、夕方は山の空気に包まれ、夜は星を見に行く。つまりここは、観光名所を“こなす”ための町ではない。ひとつひとつの時間を、少し丁寧に味わうための町なのだ。