「フラッグスタッフの第一印象は、“わあ、すごい”ではなかった。
“ああ、ここは気持ちいい”だった。そこが忘れにくい。」
最初の印象は、
たいていその町の本質を少しだけ教えてくれる。
Hiroにとって、フラッグスタッフの第一印象はとても珍しい種類のものだった。派手に圧倒されるのではなく、すっと身体がほどける感じがしたのだ。アリゾナといえば、もっと熱くて、もっと乾いていて、もっと“広大な景色の州”だと思っていた。でもここでは、到着した瞬間から空気が違う。標高の高い高原の町らしく、風が軽く、光が澄んでいる。その違いは、理屈より先に身体でわかる。
そしてすぐにもう一つ気づく。フラッグスタッフは、自然の中の町というより、自然と町の境界がとても上手に混ざっている。駅舎は歴史があり、Route 66 は今も街の骨格の一部で、レンガの建物は人の目線にちょうどいい高さに並ぶ。けれど視線を少し遠くへやれば、背景には山がある。その重なり方がとても美しい。Hiroはこの時点で、ここが“ただ通る町”ではないと感じてしまった。