「アリゾナの花は、たくさん咲くから美しいのではない。
砂漠に咲くから、忘れがたく美しい。」
花が少ない土地ではなく、
花がいっそう尊く見える土地。
砂漠と聞くと、乾き、岩、サボテン、強い太陽を思い浮かべる人が多い。 もちろんそれは間違っていない。アリゾナの自然は、たしかに骨格が強い。 けれど春になると、その印象に小さな裏切りが加わる。野花が咲き、サボテンに花がつき、 土の色の中に黄色、紫、赤、白がふっと現れる。しかも、それが大げさではなく、静かに起こる。
だからアリゾナのデザート・ブルームは、ただ“花がきれい”という話では終わらない。 もともと強い景色の中に、やわらかな色が差し込むからこそ感動が深くなる。 乾いた土地に、こんなに繊細な季節がある。その驚きが、そのまま旅の記憶になる。
日本人旅行者にとっても、この感覚はとても魅力的だと思う。桜のように一斉に世界が染まる美しさとは少し違う。 もっと控えめで、もっと土地に寄り添っていて、よく見る人にだけ深く開いてくる春。 アリゾナの花は、砂漠を知ってから見ると、いっそう好きになる。